産婦人科医のおじさんと泌尿器科医のモモ先生と看護学生のかすみちゃんのブログ

性教育に関するブログです。産婦人科の男性医師と泌尿器科の女性医師と看護学生の女の子がいろいろ話します。それぞれ筆者への質問は https://peing.net/kamishige0315 で受けます。

性行為経験がなくても膣炎になるよ

    女性は、性行為経験がなくても膣の炎症を起こすことがあります。例えば細菌性膣炎とかカンジダ膣外陰炎などです。なので、帯下が臭うとか性器にかゆみや痛みがある場合は性行為経験に関係なく婦人科を受診してください。検査は痛いことなどはありませんから。


   膣の中はもともとデーデルライン桿菌という菌で正常が保たれています。この菌が膣内を酸性に保つことで外からの細菌を防ぎ膣内を清潔に保っています(膣の自浄作用)。なのでお風呂とかで性器を洗う際に膣内までゴシゴシ洗う人がいますが、それでは必要なデーデルライン桿菌まで洗い流してしまうことになります。このことで膣の中に色々な菌が増殖して膣の炎症を起こすことを細菌性膣炎と言います。細菌性膣炎は特に菌の種類が決まっているわけではなく、色々な菌で膣炎を起こすので雑菌性膣炎のような言い方をすることもあります。細菌性膣炎になると、黄色、緑色の帯下が増えて魚臭といった独特の匂いがします。

 

 

  彼が私の膣が臭いって言うんです、と言う場合は大抵がこれです。帯下が臭う、量が多い時に自分で勝手にビデなどを使って膣内を洗浄すると一時的には良くなりますが、結局デーデルライン桿菌も洗い流されるためになかなか細菌性膣炎が治らないことがあります。また刺激性の帯下の為、皮膚がただれたり、かぶれたりして痒みや痛みを伴うことがよくあります。治療は膣内の洗浄や内服薬が主体になりますが、その祭、デーデルライン桿菌を殺さない薬を使うことが大切です。きちんと婦人科に行って治療してください。


 もう一つのカンジダ膣外陰炎ですが、これも膣内に常在している真菌(カビの一種)であるカンジダアルビカンスやカンジダラブレータなどが膣内の細菌のバランスの崩れにより増殖したものです。細菌性膣炎より痒みがひどく、臭いは細菌性膣炎ほど強くないのですが合併していることが多く、魚臭を伴うこともよくあります。カンジダの場合、典型例では帯下は酒粕様とかカッテージチーズ様とか言われ、小さい塊を作り、ポロポロとした帯下が特徴的です。外陰の皮膚はやや盛り上がりを持って広がってゆき、夜間眠れないほどの痒みが起きることもよくあります。治療は洗浄と膣座薬、また皮膚用の軟膏を使いますが、殆どの原因であるアルビカンスの場合は内服薬に一回服用だけで治療することも可能です。


 下記の様な場合に膣内細菌のバランスが壊れると言われています。風邪など他の病気での)抗生物質の使用、過労や睡眠不足、過度のストレス高頻度の膣洗浄、無理なダイエット(食事の栄養バランスが悪い)、肥満や糖尿病、飲酒。
 また、細菌性膣炎もカンジダも一旦発症するとその後は性感染症と同様に、性行為によってうつるので過去に性行為警官が有る無しに関わらずコンドームを使用することは必須です。

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