産婦人科医のおじさんと泌尿器科医のモモ先生と看護学生のかすみちゃんのブログ

性教育に関するブログです。産婦人科の男性医師と泌尿器科の女性医師と看護学生の女の子がいろいろ話します。それぞれ筆者への質問は https://peing.net/kamishige0315 で受けます。

性的同意を性教育で教えています

性的同意を性教育で教えています。これが理解できれば、ハラスメントもDVなくなるからです。私の考えではLGBTをしっかり理解してジェンダーという概念をなくす、また性的同意(性的に限らず相互理解型コミュニケーション)をきちんと取れるようにする。この事で性被害やデートDVは無くなるはずだと夢を持っています。

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   で、ネットなどで書かれていることは、全ての性的な行動においては性的な同意が必要であって、同意がない場合は犯罪になると云うことです。この概念はだんだん浸透してきているのだと思います。口に出して自分の考えを相手に伝え、それを聞いたら自分の気持ちをきちんと相手に返事すると云うもので、キスやハグを含めた全ての行動にこの性的な同意が必要だという考えです。
   なんとなくここまでは理解できますよね。さて日本の映画やTVドラマなどでは、女性が好きな男性と一緒にいて、大好きな人だからキスを求められたら恥ずかしいけど、して欲しい、また女性から誘うことはないので彼からしてくれないかと期待してまってる。そんな時もし彼がキスしていいって聞いてきたら、黙ってうなずけるの人はいいけど、恥ずかしくて返事もできずモジモジしていると、相手はごめんと言って去っていく、なんて事もあるかもしれない。なんでいちいち聞いてきたんだろう、そっと無言でキスしてくれたら自分は答えたのにって悲しい気持ちになるかもしれません。
  こんな付き合い方が日本では美徳みたいに思われていて、口に出して聞くなんてとてもおこがましいという感じがあります。これが日本における性的同意を難しくさせています。また、今まで色々な事でお世話になった先輩や友人、この人がいなかったら私は自殺してたかもしれないくらいお世話になってる人に性的な同意を求められたら、その事自体はしたくないし、そんな付き合いをするつもりはないけど、本当にお世話になっている人だし、傷つけるのも辛い、そんな理由で同意を受けてしまう人もいるかもしれません。
    また同意をとる側で考えれば、勇気を振りしぼって声に出して同意を取ったら断られた。今まで仲良く付き合ったのに、キスしようって言ったら簡単に断られた。今までだってキスするような雰囲気は何度もあったのに、声に出して聞いたせいで、改めて聞かれたらやはり無理って言われた。こんなに嫌な思いするんだったら、後先考えずに無理やりしておけがよかった、って思うかもしれません。断られて傷つくのが嫌だ、こんなに好きだから一回でもいいからこの思いを成し遂げたいって勝手に考えて同意なしの行動に出る人もいるかもしれません。
   
    自分が傷つきたくないから行動するなんて勝手な考えです。それで相手が傷ついたなら取り返しのつかない事です。でもこの自分が傷つきたくない、断られたら落ち込んで鬱になってしまうかもしれない、だからそれは絶対嫌だっていう考えはよく聞きます。また逆恨みしてストーカーになったり命を狙われたらとても怖いので断れないなんて話もききます。
    また逆にそんな理由で女性と付き合うことができないで、バーチャルな恋愛に向かったり、女性嫌いになったりする人もいます。
  さらに、この同意は2人の関係が正常な関係でなかれば成立しません。前述したお世話になった先輩や友人の場合であったり。逆らうと自分の生活に影響がある関係性の人、つまり上司だったり、取引先の相手だったり、習い事の先生だったり、部活のキャプテンだったりその他色々です。また正常な判断ができる状況でないといけません。酔っていたり、病んでいたりそんな状況では相手がいくら同意をしても同意があったとは言いません。
  でもこれって同意を取る側にとっては凄く判断が難しい。どんなに純真な恋愛であって相手が本当に同意していたとしても自分が上司であるというだけで、この返事は正しい同意なのか判断できないからです。となると自分が立場が上の人は下の人と絶対に付き合えない事になってしまします。
   相手が嫌な時はきちんと嫌と伝えてくれるのであれば、同意を聞くことができ、成立する事も可能なのですが、前に書いたように答える方は色々なしがらみでなかなか声を出して断れない状況もあります。
   AV男優の森林さんから聞いたのですが、海外では上司は一回だけ部下に同意を聞いてもいいそうです。たしかに一回しか聞いたらダメという事であれば、断ってもそのあとしつこくされる事もないので、きちんと断りやすいでしょう。もちろん断られた上司も逆恨みすることがないという前提ではありますが。
    海外は色々な民族が混じり合っている国が多いので、きちんと口に出して自分の意見を伝えないと伝わりません。そんな環境にに小さい時から育っているので、案外簡単にNOって言えます。
   日本ではこの同意をどのように推し進めていけばいいのでしょう。性的なものにかかわらず全て人と一緒に行う行動には同意が必要です。小さい時から同意を取るということが当たり前にできるようにすること。自分の意見が通らなかった時に、相手を傷つけることがなくてよかったと思えるのか、自分が馬鹿にされたと嘆くのか、そんなところからしっかり教えて行くことが大切です。もちろん周りの大人もそうでないといけません。
    理想的な話であっって現実的ではないと思われるでしょう。でも何かを目指して行動して行かなければ何も変わりません。毎回5mm程度の進歩でも一応前進しています。
    性的同意(同意)の徹底こそいじめや性的被害、虐待を根本的に防ぐ基盤になります。
   SNOOPYの飼い主のチャーリーブラウンは言っています。「大好きって相手の幸せを考えること」素晴らしい言葉です。