産婦人科医のおじさんと泌尿器科医のモモ先生と看護学生のかすみちゃんのブログ

性教育に関するブログです。産婦人科の男性医師と泌尿器科の女性医師と看護学生の女の子がいろいろ話します。それぞれ筆者への質問は https://peing.net/kamishige0315 で受けます。

掲示板に子宮頚がんの質問があったので

子宮頚がん検診はみなさんが一般に子宮がん検診と言っているものと同じものです。

 

 子宮頚がんはHPV(ヒトパピローマウィルス)に子宮の入り口が感染する事が原因でおきます。子宮の入り口っていうものは膣の奥にあるものなので基本はセックスで感染することになります。

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子宮頚がんの位置

 性感染症と同様に男性性器から女性性器そして男性性器と一般には感染します。性行為の方法によっては喉や肛門にも当然感染します。咽頭がんや肛門がんの原因になることもあるのですが確率はあまり高くなく、圧倒的に子宮頚がんの発生原因として有名です。少しの例外はあるとしても基本的にはHPV感染が子宮頸がんの原因です(コンドームを使っても皮膚の表面とかにも引っ付いてくるのでセックス経験があれば必ず検査を受けてください)。従ってセックス経験の無い女性は子宮頚がん検診を受ける必要はありません。(20才になったら子宮頚がん無料クーポンが配布されますが、セックス経験がなければ受診する必要はありません)。

 

この子宮頚がん検査はHPVに感染したかどうかを見る検査なわけです。一般にがん検診と言う奴は早期発見早期治療。早めに見つけて命を助けると言うのが目的ですが、子宮頚がん検診はHPVに感染した人を早めに見つけることが目的になります。

 

 HPV感染はセックス経験がある女性の一生を通じて80%に認められます。20代では30−40%に感染を認めます。もちろん全てのHPVが子宮頚がんにはなりません。それだったら世の中の女性の8割が子宮頚がんになってしまいます。

 つまり感染しても90%は自然に消えるわけです。で残った10%の中でガンになるのは1〜2%程度です、それも早くて3年、普通なら5−10年かけてガンになります(残った8%程度は子宮の中でじーっとしています)。

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HPV感染

 セックス経験があれば早いうちから子宮頚がん検診を受けることでHPV感染を見つけることができれば、その後フォローしてHPVが消えるのを確認します。もし残ったとしても経過を追っていって、もしガンに進行しそうならその前に治療します。HPV感染はガンではないので治療も感染した部分を削り取るか、レーザーで焼く程度です。(もしガンになっていたら子宮を取ることになるのでえらい違いです)。

 

 子宮頚がん検診では是非異常ありにひっ掛かって欲しいわけです。

よくクリニックに来た患者さんが、検診で子宮頚がんの精密検査になったと顔を青くしてこられますが、私は良かったねって答えています。だって異常なしって結果の場合はHPV感染がなかった場合もありますが、大抵はHPVに感染したことを知らないでその後自然にHPVが消失した後、検査を受けて異常なしと言われているわけです。消えたから良かったけどもしガンに進んでいたら大変なことになっています。ですから私は結果異常なし、より、HPVの感染がありますよっていう結果の方が、良かったねになるわけです。

 

 子宮頚がん検診は力を抜いてゆっくり深い呼吸をしながらリラックスして受ければ痛い、恐い検査ではありません。できれば内診台のカーテンはとって医師としっかりコミュニケーションを取りながら行なえばもっと安心です(私のクリニックでは初めての内診患者さんは不安を無くすためにカーテンをできるだけしないようにしています)。

 

 みんなで一緒に子宮がん検診を受けましょう。受けたらSNSに今日がん検診受けて、こんなだったと書き込んでみんなに経験を共有して、SNSが子宮がん検診の話題で持ちきりになったらいいなっていつも思っています。今あるがん検診の中でガンが予防できる検査はこの子宮頚がん検診だけなのですからね。

 

子宮頸がんワクチンについてはまた改めて書きますね。