産婦人科医のおじさんと泌尿器科医のモモ先生と看護学生のかすみちゃんのブログ

性教育に関するブログです。産婦人科の男性医師と泌尿器科の女性医師と看護学生の女の子がいろいろ話します。それぞれ筆者への質問は https://peing.net/kamishige0315 で受けます。

ラバハラ(恋人同士のハラスメント・デートDV) に成らないために 〜小・中学生のみんなへ〜

   赤ちゃんは女の人がお腹の中に持っている卵巣というとこでつくられる卵子と男性が睾丸の中にある精巣というところでつくられた精子とが一緒になってできます。精子卵子も一生懸命頑張って出会います。出会った精子卵子は受精卵という卵になって子宮の中でゆっくり育ちます。子宮の中で受精卵は赤ちゃんに育ってゆきます。へその緒を使ってお母さんの胎盤から必死で酸素や栄養をもらって育ってゆきます。ある程度育った赤ちゃんはやがて陣痛という子宮の収縮によって子宮から押し出されて生まれます。この陣痛は鼻からスイカを出すくらい痛いと言われているくらいなので、実際すごく痛いものです。直径5cmの鉄の棒を真っ赤に焼いてお腹に当てるくらいの痛みとも言われています。お母さんたちはその陣痛に耐えながら赤ちゃんを産みます。この陣痛の痛みは男性はまず耐えれないとも言われています。それほどすごい痛みなのです。もちろん赤ちゃんの方も大変です。赤ちゃんは陣痛の度にすごい力で締め付けられる事になり、その度に心臓は止まりそうになります。でも生きようとするすごい力でそれを乗り越えます。陣痛で何度も止まりそうになる心臓ですが、生きる力で乗り切ります。乗り切った赤ちゃんは生まれるとき、初めて肺で息を吸います。そして肺に入れた空気を外に出すとき大きな声で泣きます。そして体が酸素でいっぱいになると心臓の穴が閉じて心臓の形が変わります。さらに4、5日かけて体の中を流れている血液も新しいものに変わります。生まれてくるということは人生の中で一番苦しく、そして一番体が変化する時です。これを乗り越えて来ているみんなはすでに人生の勝ち組なのです。生まれて来てここにいるみんなは同じ人生の勝ち組なのです。

 頑張って生まれて来たことは一緒でも体や性格はみんなが違います。まず体にはそれぞれ特徴があります。私は背が低いので高いところにあるものに手が届きません。先日も本屋さんの本棚の上にある本を取りたかったのですが手が届きませんでした。すると隣にいた背の高い若い女性の人が「取りましょうか」と言いながら、手を伸ばし簡単にその本を取って、渡してくれました。本当に助かりました。私は心からお礼を言いました。見方を変えてこの関係を考えてみます。本を取るときは女性にお願いしないといけません。でも私も婦人科の医者なのでこの女の人が病気で困っていたら助けてあげることができます。つまりお互い困った時に助け合うことができる関係です。体の違いだけではなく人間は得意なものと苦手なものを持っています。例えば足の不自由な人は階段の上り下りなどは家族や友達や周りの人に助けてもらう必要があるかもしれません。でもその人は勉強がすごくできる人かもしれないし、歌がうまいかもしれません。他にも何か得意なものを必ず持っているはずです。その得意なもので今度は他の人を助けてあげることができます。誰にもハンディーキャップ(不利、苦手なこと)はあり、またアドバンテージ(有利、得意なこと)もあります。お互いが助けうことでみんな平等に同じ仲間として楽しく生きてゆくことができます。困ったときは助けてと声を出し、その声を聞いたらみんなが助けてあげて、自分ができることはみんなにしてあげて、悲しいことはみんなで分け合って、嬉しいことはみんなに分けてあげる。人間同士の関係はこれだけです。

 人間の性格や行動は、生まれ持った性格と生まれた環境や育った環境で決まります。この三つが同じであれば人は全く同じことをすると私は思っています。お友達や仲間があなたには理解できない色々な意見や行動をすると思います。でもそれはあなたも同じ条件だと、同じことをするのです。逆に言えば誰一人として同じ人はいないのです。みんな違っていてそれでいいのです。それでもみんな同じ仲間であることに変わりはないのです。

 身体は受精するとき受精した精子のタイプで体は女性と男性に別れます。女性型の肉体は卵巣や子宮があり子供を育て、産むことができるようになっています。そのため女性は子供が産める年齢になると月経(生理)が始まります。そして大半の女性はこの月経で苦しみます。月経前からイライラしたり気持ちが落ち込んだり心が辛くなることがあります。月経が始まるとお腹の痛みや、こその痛み、頭痛なども始まります。男性には想像できないとても辛い時期が女性にはあります。また妊娠中、強い吐き気がきたり、頭痛や腰痛、足の痛みや、精神的に落ち込んだり、イライラしたり妊娠している間、ほとんどが辛い期間です。そしてあの鼻からスイカを出す陣痛が続きます。生まれた後も子育て家事仕事、さらに外での仕事などに追われることになります。前にも書きましたが人間同士は困ったとき助け合うのが普通だし、それが平等です。男性はこのような女性のハンディキャップをカバーしてこそ、平等だと言えます。この3年間の間に300人ほどの中学生男子に同じ質問をして来ました「未来の話だけど、君が女性と結婚しているとするね。でその女性は今妊娠中でさっき話したようにすごく大変なんだよ。でね君が仕事に疲れてふらふらになって家に帰って来たんだけど、奥さんはこんな状況だから、炊事洗濯掃除などがほとんどできていなかったんだよ、でね帰って来てそれをみた君はどう思う、または彼女になんていう」。答えは300人、全ての男子生徒が「俺がします」と力強く答えてくれました(実際は2名ほど実家の母を呼ぶって答えもありましたが)。みんな平等って理解しているんだと思います。さて、女性の肉体的なハンディキャップに関してはアドバンテージにある男性がカバーするとしても、心に関しては考え方が違って来ます。心は前に私が書いたように、生まれ持った性格と生まれ育った環境によって皆それぞれに違って来ます。男性ぽいと言われる心の人もいれば女性ぽい人もいます。またその割合は色々で心に決まりはありません。つまり自由に自分の心の性別は自分で決めていいのです。女だから男だからとうい体の性別にとらわれる必要は全くないのです。さらに言えば好きになる相手も自由です。男子だから女性だからってこと関係なしに、好きになった人と付き合えばいいし、愛したらいいのです。これも心が決めることなので自由なのです。私の知っている高校生男子は最初に好きになったのが女性だったから女性と付き合った。その次に好きになったのが男性だったから男子と付き合ったと話していました。全くそうだと思います。「自由な心で、好きな服を着て、好きになった人がタイプ」これが普通ではないでしょうか。自分の性別も自由また好きになる性別の自由なのだから、男だから女だから、彼氏だから、彼女だからこうしないといけないなんて考えは無くなりますよね。 

 人間どうしの付き合いでめんどうなのは、力の強い人間が弱い人間に命令したり、暴力を振るうことです。コミュニケーションという言葉があります。このコミュニケーションのタイプは大きく分けて3つに分かれるそうです。①攻撃型:何が何でも自分の意見を通そうとするタイプ。②受身型:なんでも相手に合わせようとするタイプ。③相互尊重型:自分の意見は率直に明確に伝えるけれど、相手の意見もしっかり聞いてお互いが納得するように持ってゆくタイプ。友達や仕事仲間とのコミュニケーションが攻撃型や受身型だとハラスメント(いじめ)の関係になりやすいですね。またお付き合いしている恋人同士だと恋人同士のハラスメント(デートDV)になってしまいます。全員が相互尊重型のコミュニケーションを取れるようになることが一番です。また相手に何かをする場合は必ず同意(相手の気持ちの確認)を取らないといけません。LINEをするとき、電話するとき、写真を撮るときなど、色々な場合全てです。例えば、自分はLINEで色々話したいんだけど、あなたはどうですかと聞き、同意をしてくれた人だけLINEをします。また恋人同士なら手を繋ぎたいんだけど繋いでいいかなとか、私はすごくキスしたいんだけどあなたはどうかなとかならずっ声に出して聞かないといけません。そして相手がいいよと言ってくれたこと以外は絶対にしないようにしましょう。同意がないことを勝手にやると、相手はとても傷つきます、またお互いの信用も無くしてしまいます。それは正しいコミュニケーションでは無いですよね。

   誰でも寂しくて人に甘えたくなったり、頼りたくなったりします。そんな気持ちを埋めてくれる恋人は貴方にとってとても大切な存在です。お互いの気持ちが分かり合える、寂しい時心から頼れる、自分のことを一番わかってくれていて、居なくなると寂しくて辛くて生きていけなくなるくらい、そんな恋人が居たら、絶対に離れたく無いのは当然です。恋人同士は離れないように、お互いが安心できるように約束をします。ふたりの中だけの規則です。それが守られることで相手がいつも自分のそばにいてくれる感覚になれます。でも約束はだんだん細かく厳しくなることが普通です。そしてどちらかが一方的に約束をしてくるようになります。これは前に書いたように、人の思いはそれぞれなので相手に対する不安や信用度が違うからです。だんだん約束のバランスが悪くなって一方的になってくると、どちらかが辛くて約束を守ることを諦めようとし始めます。今まで約束が守られていたからこそ、寂しくなかったのですから、それが守られなくなると急に不安になります。相手になんとか約束を守らせようと頑張ります。言葉で相手を脅したり、怖がらせたり、無視したり、頼み込んだり、泣いたり、自分を傷つけて見せたり、自殺をほのめかしたり(モラルハラスメント)して相手に約束を守らせようとします(相互尊重型コミュニケーションが取れない)。また約束が守られないことに強い怒りを感じて、殴りかかったり蹴ったりする人もいるでしょう(パワーハラスメント)。無理やり抱きついたり、キスしてきたり、Hしようとする人もいます(セクシャルハラスメント、性的な同意が取れてない)。もともと寂しがり屋の2人ですから、おできれば相手にそばにいて欲しいと思っているので、パワハラモラハラに負けて相手の約束を守る事になるかもしれません。約束が守られたとき相手はとても優しくしてくれます。この人だけがいたらもしかしたら自分は幸せかもいれないと思えるくらいにです。そしてこんなことが繰り返され結局はお互い約束でがんじがらめにされて寂しさを癒しながら付き合って行くような関係になります。この関係を恋人同士のハラスメント(デートDV)と言います。ここでの問題はお互いが寂しくて相手に強く依存してしまうことです。人の心って家族関係や、過去の経験や、いま繋がっているものや、恋愛や、未来への夢や希望などから成り立っていて、その経験や繋がりが多く、それらがその人にとって良いものであればその一つ一つのパーツで心は満員になり、寂しさや辛さ、また大きな依存は少ないのかもしれない。でもそれらの経験や環境や繋がりが少ない又は消し去りたいものが多いと心に隙間があり、それを何か他のもので無理やり埋めようとする、それが依存です。依存が大きければ大きいほど、それが無くなった時に、心に大きな穴が開きます。それがみんな怖いので、その依存を守ろうとします。その依存が恋人だった場合、デートDVやストーカーになります。薬物依存やゲーム依存も同じような理由でしょう。さらに不安が強くて死にたくなることも多いのではないでしょうか、だから今の間にたくさん繋がれるものを作ることが大切です。家族や友人や仲間、趣味や音楽、漫画や本、ペットや食べ物なんでも自分の好きな居場所をたくさん持ちましょう。そんな生き方ができたら、それこそがリア充です。リア充は彼氏彼女がいる人だけじゃなくて、友達とワイワイ過ごしたり、日々が充実しているのもリア充。だからSNSの繋がりもリア充です。リア充な人は、自分の居場所を何か一つ失ってもそんなに寂しくはありません。だって他にも自分の居場所はあるからです。このリア充ができている人が自立している人です。今寂しくて、人と話すのが苦手てで、ひとりぼっちの人もまず一つでいいから繋がる人や物を作ってください。とりあえず一つでいいから。一つできたらその関係からまた一つまた一つと繋がりが増えてゆくはずです。性別に関係な自由な心を持つことを理解して、相互尊重型のコミュニケーションを身につけ、リア充な生き方を求めていけばラバハラ(デートDV)は防ぐことが出来ると私は信じています。